ことばによる望ましいコミュニケーションの方法 ―教師、保育者、カウンセラーにおくる一般意味論の招待状―

著者
福沢周亮・藪中征代 著
版型・頁
A5判 181頁(2017/05/15)
ISBN
978-4-89347-253-3
価格
2,200 円(税込) (税別2,000円)
数 量

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概要

ことばによるコミュニケーションによって仕事をする教師、保育者、心理カウンセラーの方向けに、一般意味論を用い「望ましいコミュニケーションの方法」について解説

人と人とのコミュニケーションは、情報の伝達といえるでしょう。この情報の伝達がうまくいかないために、さまざまな問題が社会ではおきています。近年、教育、保育の現場では、いじめや学級崩壊、モンスターペアレンツ(保護者とのトラブル)などの問題がよく報道されますが、これらももとはコミュニケーションがうまくいかない――つまり情報が正しく伝達されなかったことに起因するものです。
こうした問題が取りあげられるたびに、新聞やテレビなどで「コミュニケーション不足」と報じられます。しかし、たんにコミュニケーション量を増やせば、これらの問題が解決するというものではありません。解決策は、ことばを増やすことではありません。そこで遣われることばの意味を理解し、選び(吟味して)、相手に伝えることが大事なのです。
子どもや大人、クライエント(来談者)などとかかわる手段として、ことばを遣っている教師、保育者、そして心理カウンセラーの皆さん、これから教師や保育者、心理カウンセラーを目指している学生の皆さんは、コミュニケーションの基礎的な力を身につける必要があるでしょう。本書は、ことばの機能を説明することに適した「一般意味論」を用いて、望ましいコミュニケーションの方法を平易に解説した入門書です。教員養成、保育者養成、心理カウンセラー養成をおこなう大学・短大等の「コミュニケーション論」「言語社会心理学」のテキストとして最適な一冊です。

主要目次

第1章 抽象の段階 ─ことばは同一平面にならんでいない
  第1節 抽象の段階とは
  第2節 教材「広い言葉・せまい言葉」
  第3節 「抽象の段階」を上下することの意味
  Column1 シンボルを操る動物
第2章 内在的意味 ─「おとうさん」と「パパ」は違う
  第1節 「通達的内包」と「感化的内包」
  第2節 教材「言葉と事実」
  第3節 ネーミングの意味するもの
  第4節 ことばの魔術
第3章 分類 ─子ども1は子ども2ではない
  第1節 ことばは分類を示している
  第2節 個に目を向けよ
  第3節 「老人」は何歳からか
  第4節 「公害」ということばの落としあな
  Column2 ことばの機能
第4章 二値的な考え方から多値的な考え方へ
  第1節 二値的な考え方と多値的な考え方
  第2節 「である」の正体
  第3節 広告・宣伝のことば
  第4節 ことばの魔術と思考
  第5節 拡散的思考と作文
  Column3 ことばと記憶
第5章 地図と現地 ─地図としてのことば
  第1節 サピア・ウォーフの仮説
  第2節 デールの「経験の円錐」
  第3節 比喩
  第4節 「凍死」の意味
  第5節 擬態語・擬音語
  Column4 ことばと思考
第6章 報告と推論 ─事実を述べることは難しい
  第1節 報告と推論
  第2節 報告のことば
  第3節 テレビによる報告
  第4節 新聞による報告
第7章 エトセトラ ─ことばではいいつくせない
  第1節 エトセトラ(ETC)をつけよ
  第2節 いいたりない感想
  第3節 表記が伝えるもの
第8章 ことばの落としあな ─いいたりないということの意味
  第1節 教材「言葉の落としあな」
  第2節 「いわない嘘」の成立
  第3節 ことばの落としあなへの注意
  第4節 コミュニケーションの成立条件
  Column5 ことばと知能
第9章 一般意味論と心理学(Ⅰ)
  第1節 ことばの情緒値とイメージの測定
  第2節 語音象徴
  第3節 偏見
  Column6 ことばとパーソナリティ
第10章 一般意味論と心理学(Ⅱ)
  第1節 教育の場の認知とことば
  第2節 評価語
  第3節 性教育の用語
  第4節 認知の働きの育成
第11章 一般意味論とカウンセリング
  第1節 ことば遣いと質問の仕方
  第2節 ことばの解釈
  第3節 意味論療法の考え方
  第4節 一般意味論を基礎とした心理療法の評価
  Column7 読書療法
第12章 一般意味論の考え方・定義・評価
  第1節 一般意味論の考え方
  第2節 一般意味論の定義
  第3節 一般意味論の評価
INDEX